習慣のスタッキング:新しい習慣を、今ある習慣につなげる
習慣のスタッキング(habit stacking)とは、毎日すでに自動的にしていることのすぐあとに、新しい習慣をつなげる方法です。「朝のコーヒーをいれたら、今日いちばん大事なことを3つ書く」。いつもの習慣がきっかけになるので、新しい習慣をいつやるかを覚えておく必要がありません。習慣は同じ状況でくり返すことでできるので、これはうまくいきます。研究では、「いかり(アンカー)」の選び方も大事だとわかっています。歯みがきのあとにフロスを使った人は、前に使った人よりも、フロスを使う行動が早く習慣になりました。このページでは、型、20の例、つながりが途切れる失敗を紹介します。
- 習慣のスタッキングは「[今の習慣]のあとに、[新しい習慣]をする」という形の計画です。自分のいつもの流れをきっかけにする、if-thenの計画の一種です。
- 習慣は決まった状況でのくり返しでできます。有名な研究では、自動的になるまでに18〜254日、典型的には約2か月かかりました(Lallyら, 2010)。
- 歯みがきのあとにフロスを使った人は、前に使った人より強い習慣ができ、8か月後もよく使っていました(Judahら, 2013)。
- いちばんいいアンカーは、毎日同じ時間と場所で起こり、はっきりした終わりの瞬間があるものです。
- つながりが途切れるのは、新しい習慣が大きすぎる、アンカーがあいまい、一度につなげすぎ、のどれかがほとんどです。
習慣のスタッキングとは
習慣のスタッキングは、すでにしていることに新しい習慣をくっつけて、生活に取り入れる方法です。型はシンプルです。
英語の名前は習慣についての本で広まりましたが、原則そのものはもっと古く、よく研究されています。心理学者はこれを実行意図、またはif-thenの計画と呼びます。どんな状況で何をするかを前もって決めておく方法です。習慣のスタッキングでは、その状況が別の習慣の終わりです。コーヒーを飲み終える、ノートパソコンを閉じる、洗面所の電気を消す。
よいところは、時刻を気にしたり、たくさんのリマインダーをセットしたりしなくていいことです。アンカーとなる行動は普段からしているので、新しい習慣が少しずつそこに「くっついて」いきます。if-thenの計画について詳しくはif-thenプランニングで。
効果がある理由:習慣は状況の中にある
ウェンディ・ウッドとデニス・ルンガー(2016)は、習慣の研究をこうまとめています。習慣とは、状況に対して身についた反応である。いつも同じ状況で何かをくり返すと、脳は状況と行動を結びつけ、やがて決めなくても自分で始めるようになります。だから朝、考えなくても歯をみがけるのです。
フィリッパ・ラリーら(2010)は、新しい行動をひとつ選び、「朝ごはんのあと」のように毎日同じ状況でくり返した96人を追いかけました。行動がほぼ自動的になるまでの期間は18〜254日で、典型的には約2か月でした。そして大事なポイントがあります。1日休んでも、習慣づくりは妨げられませんでした。実際にどれくらいかかるのか、なぜ「21日」が神話なのかは、習慣を身につける方法で説明しています。
習慣のスタッキングは、この「同じ状況」への実用的な近道です。状況を考え出す必要はなく、すでにあるものを使うのです。
アンカーが大事:デンタルフロスの研究でわかったこと
ギャビー・ジュダら(2013)は、50人にデンタルフロスを使い始めてもらいました。半分は歯みがきの前に、半分はあとに使います。「あと」のグループのほうが強い習慣ができ、8か月後も使う頻度が高いままでした。
著者たちは小さな予備的研究だと強調しているので、自然の法則のように受け取らないでください。それでも、実用的な原則をよく示しています。新しい習慣は、行動の終わりにつなげる。途中や前ではありません。終わりははっきりした瞬間ですが(「歯みがき粉を吐き出す」)、「歯みがきの前」は見落としやすいのです。
よいアンカーの選び方
- 毎日起こる(または、新しい習慣をしたい日には必ず起こる)。
- はっきりした終わりがある:空になったコーヒーカップ、閉めたドア、電源を切ったパソコン。
- 場所が合っている:アンカーが終わった場所で新しい習慣ができる。台所でコーヒーのあとに腕立て伏せはOK。別の部屋にある本を読むのは、少しむずかしくなります。
- エネルギーが合っている:昼食後と起きた直後では気分が違います。大変な習慣は、まだ元気がある時間帯の習慣につなげましょう。
習慣のスタッキングの例20個
| 〜のあとに | 〜をする |
|---|---|
| 目覚ましを止めたら | 枕もとに置いた水を1杯飲む |
| 朝の歯みがきのあと | スクワットを10回する |
| 朝のコーヒーをいれたら | 今日いちばん大事なことを3つ書く |
| パソコンをつけたら | メールを見る前に、いちばん大事なタスクを開く |
| 仕事の最初の会議のあと | そこから出てきたタスクを3つ書く |
| 昼食のあと | 10分散歩する |
| お客さんとの電話のたびに | 作業時間を記録する |
| ノートパソコンを閉じたら | 明日何から始めるかをメモする |
| 家に帰ったら | 鍵とスマホを玄関の小皿に置く |
| 靴を脱いだら | 運動着に着替える |
| 夕食のあと | 食器を洗って、調理台をふく |
| 食洗機を回したら | 明日の服を用意する |
| 夜の歯みがきのあと | スマホを寝室の外で充電器につなぐ |
| 布団に入ったら | 本を2ページ読む |
| 朝のシャワーのあと | 日焼け止めを塗る |
| 運動から帰ったら | 何をトレーニングしたかを記録する |
| 日曜の朝ごはんのあと | 次の1週間の計画を見直す |
| 教科書を開いたら | まず前回の内容を何も見ずに思い出してみる |
| 買い物のたびに | 出費を記録する |
| テレビを消したら | 天井の明かりを消して、スタンドだけにする |
新しい習慣はどれも小さいことに注目してください。最初の目的は、「アンカー → 習慣」というつながりをとにかく作ることです。広げるのは、それが自分で回るようになってからで十分です。
習慣の連鎖:ルーティン全体を順番に
最初のつながりが定着したら、新しい習慣にさらに次をつなげられます。そうしてルーティンができます。水 → ストレッチ → 今日の3つ。それぞれのステップが次を呼び出します。こうしてできた朝のルーティンは、最後には自動操縦のように回ります。
ただ、連鎖には弱点があります。ひとつの輪が抜けると、そのあとも抜けてしまいがちです。だから、
- ひとつずつ加える。次の習慣をつなげるのは、前の習慣が自分で回るようになってから。ふつうは数週間後です。
- 連鎖は短く。3〜5ステップ。それより長いルーティンは、忙しい日に崩れます。
- 予備の版を用意する。どうしても無理な日は、最初のステップだけやる。それだけでも、習慣を続ける助けになります。
よくある失敗
- あいまいなアンカー。「朝」はアンカーではありません。「目覚ましを止めたら」はアンカーです。
- 大きすぎる習慣。「コーヒーのあとに1時間走る」は1週間しかもちません。「コーヒーのあとにランニングシューズをはく」はもっと続きます。
- 毎日は起こらないアンカー。出社が週2日なら、「会社に着いたら」はほかの日には役立ちません。
- 一度に5つの新しい習慣。脳はつながりをひとつずつ覚えます。
- 休んだあとの罪悪感。ラリーら(2010)は、1日休んでも習慣は壊れないことを示しました。そのまま続けましょう。仕組みを長く保つ方法は自制心を鍛える方法で。
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CORTEX(誰でも無料)では、習慣で「新しい習慣」を追加し、時間帯(朝、日中、夜)とふだんのリマインダーの時刻を選びます。「〜のあとに、〜をする」の1文を名前に入れておけば、毎回目に入ります。いくつかの習慣を順番にやるなら、ルーティンのセクションでまとめましょう。連鎖の順番に並べて、まとめてチェックできます。できあがった連鎖がほしいなら、「朝のルーティン」テンプレート(その他 → テンプレート)が、起きたら水を1杯、のような具体的なきっかけつきの習慣を作ってくれます。アカウントがあれば、朝のルーティンのテンプレートを開くことができます。

よくある質問
習慣のスタッキングとは?
習慣のスタッキング(habit stacking)は、すでに自動的にしていることに新しい習慣をつなげる方法で、「[今の習慣]のあとに、[新しい習慣]をする」という型を使います。たとえば、朝のコーヒーのあとに今日いちばん大事なことを3つ書く、などです。
つなげた習慣が自分で回るようになるまで、どれくらいかかる?
人によって違います。ラリーら(2010)の研究では、自動的になるまでに18〜254日、典型的には約2か月かかりました。簡単な習慣は早く、むずかしい習慣はゆっくりです。1日休んでも、習慣づくりは止まりません。
どんなアンカーを選べばいい?
毎日起こり、はっきりした終わりがあり、新しい習慣をすぐにできる場所で起こる行動です。たとえば、コーヒーを飲み終える、歯をみがく、ノートパソコンを閉じる。新しい習慣は、アンカーの前ではなく終わりにつなげましょう。
いくつの習慣を順番につなげられる?
ひとつから始めましょう。次をつなげるのは、前の習慣が自分で回るようになってから、ふつうは数週間後です。3〜5ステップのルーティンなら続けられますが、それより長いと忙しい日に崩れやすくなります。
習慣のスタッキングは実行意図と同じもの?
基本的には同じです。実行意図は「Xという状況になったら、Yをする」という計画で、習慣のスタッキングではXが別の習慣の終わりになります。if-thenの計画は、行動を変える方法の中でもっともよく裏づけられたもののひとつです(Gollwitzer & Sheeran, 2006)。
出典・参考文献
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W. & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology
- Judah, G., Gardner, B. & Aunger, R. (2013). Forming a flossing habit: An exploratory study of the psychological determinants of habit formation. British Journal of Health Psychology
- Wood, W. & Rünger, D. (2016). Psychology of Habit. Annual Review of Psychology
- Gollwitzer, P. M. & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology
- Gardner, B., Lally, P. & Wardle, J. (2012). Making health habitual: the psychology of ‘habit-formation’ and general practice. British Journal of General Practice
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